―「陸上を始めたきっかけは何ですか?」
球技ができなかったこともあり消去法で陸上部に入部しました。そのため競技に対する熱意は当初はありませんでした。
中学1,2年生の時は思うように伸びず、砂場にメディシンボールを埋めたり鬼ごっこをしたりと部活の練習時間に遊んでいることも少なくなかったです。
ただ、中学3年生の時に成長期と重なり少しだけ記録が伸びたことをきっかけに、速くなることの楽しさを覚えました。
以降段々と陸上競技への熱意が生まれ、特に目立った記録も出せていなかったので迷うことなく高校でも陸上を続けました。
―「大学の体育会で陸上を続けることになった理由を教えてください」
体育会に入るか否かで少し悩んでいたものの、体育会に入るのであれば陸上を続けるということは自分の中で決めていました。
というのも、高校3年生の時に腰を故障してしまい、最後のインターハイ予選である県大会が不完全燃焼のまま終わってしまったことが心残りだったからです。
当時、自分の感覚として怪我さえなければもっと上を目指せると思っていたので、現実とのギャップがとても悔しかったんです。
そのため、やるならリベンジとして体育会で陸上競技を続けようと思いました
―「(対談当日もたまたま軽い肉離れをおこしてしまった)怪我が多いようですがどのような気持ちで競技と向き合っていますか?」
怪我が多いので皆と一緒に練習ができない時期が多く、その時は練習する他の選手の姿を見て気分が深く沈んでしまうこともあります。
でも、辞めたいと思ったことは一度もありません。高校のラストシーズンの悔しさが自分の原動力になっているので、怪我のつらさやしんどさは辞める理由には全くなりません。
最後の最後に結果がだせれば、という一心で復帰期間の練習に臨んでいます。
―「競技をするうえで大切にしている価値観は何ですか?」
自分の自己実現とも共通していますが、口先だけではなく行動と結果でチームに示すことは意識しています。
ブロック長としても部員からの信頼は必要なので、自分の持つ人間性が正しく、誠実であるべきだと考えています。
部員からそのような人間性を持ったブロック長だと思ってもらうために、ビッグマウスで虚勢を張るような態度をとるのではなく、競技も含め自分で決めたことをやり遂げる人間でありたいです。
これは当たり前のようで周りを見てもできている人は多くないと感じるし、自分自身足りていないと感じる面でもあるので今後も大事にしたい価値観ですね。
―「昨年の9月から短短ブロック長に就任しましたが、どのような経緯だったんですか?また、実際就任してみていかがですか?」
とびぬけて足が速いわけでもなく、後輩のなかにも自分より速い記録を持った選手が多くいる中でブロック長を務めることに迷いはありましたが、最終的に自分の意志でやりたいと決めました。
実際に就任してみて、ブロックのことだけを考える立場ではなく幹部として部全体を考える視野の広さを持たなければいけないことに気づきました。
また、競技の特性なのか、選手は良くも悪くも個性が強く比較的感情が激しい印象があります。その個性の強い選手たちをまとめるために、中立的な立場でありつづけることは簡単ではありません。
ただ、強い短短ブロックを作り上げたいという気持ちは常にあります。というのも、現在世界で活躍しているOBの山縣選手・小池選手が在籍されていた“短短ブロックが部の得点柱”だった時代に比べ、今は低迷している印象があります。
そのような中で今年こそは部に“強い短短ブロック”を見せたいという気持ちは大きいです。結果で部に影響力を与えていきたい一方で、個人的に怪我をしてしまったりしている現状焦りは感じています。
この焦りはおそらくブロック長である責任からより大きいものになっていますね。
―「幹部として目指したい競走部像を教えてください」
競走部はチームスポーツに比べ、個人レベルでの活動が多いため練習するもしないもその人次第といったように自由度が高いです。このような環境下で部に対する主体性・帰属意識に欠ける人が多いと感じます。
サークルやバイトその他のあらゆる選択肢が大学生活にある中で、體育會競走部で陸上競技をすると厳しい環境を自分自身で決めた以上、主体性や帰属意識が欠けてしまう部員がいることは残念だし、部として解決しなければいけない問題の一つです。
また、組織像と言うより目標と言う意味では、サポーターや応援の選手たちの力も含めた結果を出せるようにしたいですね。関東インカレ一部残留であったり、関東インカレで〇点獲得するという定量的な目標ももちろん大事です。ただ、その内容も重視したいと思っています。
例えば関東インカレで獲得した点数が、実際に出場する主力選手だけで取ったものなのか、応援に回る選手やサポーターも含めた全員で取ったものだと認識できるかで内容が変わってきます。
今の競走部の現状では、どちらかと言うと実際にその場に立つ選手だけに懸ける結果になってしまい、応援に回る多くの他の部員たちの影響を受けることが難しい状態だと思います。
―「部員が帰属意識を持った競走部にすることや、全部員で生む結果を作り出すために幹部として取り組んできたこと、取り組んでいきたいことは何ですか?」
部やブロックの目標をいかに個人レベルに引き落とすことが、
『全員で獲得した〇点』と言えるためには重要だと思います。
ブロック単位で考えれば4継で関東インカレの表彰台に上ること、という目標を立てました。
ただ、実際はその場で走る選手もいれば、応援する選手もいます。
個人個人が行動レベルでこのブロック目標に対してどういった貢献をしていくかを、
1on1などを通して考える機会を与え認識させてあげること大事です。
今後も今までと変わらず、選手たちとの対話の中で部やブロックの目標に対して
個人レベルでの行動指針を持ってもらえるようにしていきたいと考えています。