合格体験記ー吉野晴葵ー

吉野晴葵 法学部法律学科2021年度入学

プロフィール

学部学年:法学部法律学科

出身校: 城北高等学校

所属ブロック:サポート

入試形態:FIT入試

     

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慶應を選んだ理由

 私は医事法の研究に中学3年生の頃から興味がありました。その興味は学年が上がるにつれ大学で研究したいという意志に変わって行きました。また、法曹実務家になるという目標があったため、視野にあった大学の法学部も調べていました。
 そのような中で、慶應の法学部法律学科では1、2年次に法律科目と並行して教養科目として自然科学や人文科学の幅広い学問を学べることを知りました。医事法は法分野の一つではありますが、対象とする事象は安楽死、臓器移植、中絶、クローン等多岐に渡り、生物学、医学、倫理学、社会学、人類学、哲学等多様な学問の知見がなければ十分な考察はできません。そのため、1年次から法律に特化している大学や、1、2年次は教養科目に特化している他の大学の法学部より、慶應法学部法律学科のカリキュラムに魅力を感じました。
 また、高校生の時の私は大学でも陸上を続けること真剣に考えていたわけではありませんが、慶應競走部の、部員の自主性を重んじる体制に魅力を感じていました。そのため、仮に大学でも陸上を続けるなら慶應に受かった時だけと決めていました。

入試対策

 私はB方式しか受験していないため、B方式について述べさせていただきます。なお、最初に申し上げておきますが、私は専ら一般受験の勉強しかしておらず専門の塾・予備校にも通っていませんでした。そのため、一次試験の志望理由書や志望者調書を書き出したのは、郵送の約三週間前ほど前からでした。なぜ、たったのこれだけの短い期間で合格できたのかは以下でお伝えしていきます。なお、私は陸上でIHに出た経験は無く、芸術で賞をとったこともなければ、ボランティア経験やまともな資格もありませんでした。そんな高校生でも慶應法学部で学びたいという強い意志があれば受験し合格することができるのがB方式の魅力である思います。
 FIT入試のB方式は一次試験と二次試験に分かれていて、一次試験は志望理由書、志望者調書、高校の教員からの評価書、高校での成績を書いた調査書といった書類で合否が決せられます。どの書類も重要であることには言うまでもありませんが、中でも志望理由書と志望者調書は重点が置かれていると考えられます。FIT入試の趣旨に立ち返れば自ずとその訳はわかると思います。
 FIT入試の募集要項を見てみると、「FIT 入試とは、この学生を 「教えたい」という私たち法学部教員と、慶應義塾大学法学部法律学科・政治学科を第一志望とし、そこで「勉強したい」学生との間の良好な相性(fit)を実現しようとするものである」と書かれています。必然的に採点者は志望理由書と志望者調書を重視するでしょう。もっとも、高校の成績が良いに越したことはありません。私は、高校での成績は5段階平均4.9で、主要5科目は5.0でした。これは高校一年生の頃から大学受験に向けて真剣に勉学に向き合ってきたことに依ると思います。評定が高かったことは入試を受ける上でも、自信に繋がりました。また、FIT入試は決して合格しやすい入試ではないので、慶應法学部に本気で入学したいのなら、日頃から一般試験に向けてしっかりと勉強しておきましょう。FIT入試で落ちても一般で受かる自信・可能性が十分にある状態で臨むのが最善だと思います。
 では、まずは一次試験の志望理由書についてより詳しくお話しさせていただこうと思います。大事なのは「何故慶應法学部に入りたいのか」、「何を慶應法学部で学びたいのか」、「何故慶應法学部でなければならないのか」、「慶應法学部での学びを卒業後にどう(社会に)活かしたいのか」の4つを伝えることです。したがって、「慶應は司法試験合格者を多数輩出しているから」や「先輩がいるから」といった主張は読み手側からすれば、前者は「司法試験を目指すだけなら慶應じゃなくて早稲田や中央でもいいじゃん」と、後者は「他にも先輩なんてたくさんいるんだからわざわざ慶應じゃなくても良くない?」と受け取られて即弾かれます。具体的な中身は(社会倫理規範から逸脱していなければ)何を書いても構わないと思います。そして、如何に先の4点をわかりやすく、適切な文章で伝えることができるかが鍵になります。そのため、論理的で、読み手の興味を惹く文章を書く能力は欠かせません。幸にして、一般入試の小論文のように短い時間で一気に文章を書き上げる必要はないので、学校の先生に添削をお願いする等して、時間の許す限り推敲を重ね、自信を持って提出できるものを完成させましょう。原稿用紙の使い方にも注意しましょう。
 最後に清書ですが、この作業はかなり体力的にも精神的にも辛いです(他のFIT入試合格者もよくここが一番キツかったと言っていました)。不慣れなボールペンで、丁寧に(綺麗と丁寧は別物です)、誤字や脱字をせずに書き切るのは、高校生にとっては大変なことだと思います(ちなみに法律学科の法律の試験や司法試験は基本的に全てペン書きです)。私は数百枚の紙を反故にしました。腱鞘炎にもなりながら書いたのを今でも覚えています。字で落とされることは絶対にありえません。しかし、「もっと丁寧に書いておけば」と提出してから後悔すると何も手が他のことに手がつかなくなると思うので、時間が許す限り最良のものを書きましょう。なお、修正液を私は最終的に4箇所程使ってしまいましたが、問題ありませんでしたので最後の手段として使うのもアリだと思います。
 次に一次試験の志望者調書についてお話しさせていただきます。志望者調書には4つの質問が提示されます。質問の数や中身は毎年違うかもしれませんが、凡そ自己に関する質問が立てられます(私の時は自己に関するものが3つ、慶應法学部に対するものが1つでした)。一つ一つの質問に対する回答欄はそこそこ大きく、350字〜500字が目安です。自己に関する質問は一つ一つが高校生にとってはかなり答えにくいものとなり、時間をかけて考える必要があります。私の場合は複数の回答を考え、学校の先生に見て頂き、一つに絞った後に、その一つをより良くしていくという手法を取りました。分量は最後の行の末端まで埋めるようにした方が印象は良いと思います。中身は部活動やその他の課外活動等高校生活での経験を元に書くと書きやすいでしょう。特に一番大事なのは至極当たり前のことではありますが、質問に的確に応えることです。使う文言もなるべく質問のものに寄せた方が安心です。最後に、こちらも時間が許す限り推敲し、清書も丁寧に行いましょう。
 最後に、ここでは二次試験についてお話しします。なお、私が受験した年(2020年)はコロナ禍の真只中であったこともあり、イレギュラーな試験であったことを留意してください。具体的には、例年の二次試験は三田キャンパスでの筆記試験と面接によって構成されているのですが、私が受験した年は3日以内に作成して提出する「課題」と三田キャンパスでの面接(例年が15分程度なのに対して私の年は30分でした)となりました。そのため筆記試験に関しては私がそもそも一般入試の対策しかしていなかったこともあり、ほとんど見ていないため割愛させて頂きます。なお、私の年の「課題」とは与えられた資料を読みそれに対して自分の考えを1000字で述べるものでした。
 さて、面接ですが私の時は「課題」で書いた内容と、志望者調書について質問をされました。前者に関しては自力で取り組んだのかを確認するためのものだったのかなと思います。対策としては、面接の基本的なマナーを確認し、専ら志望理由書や志望者調書、「課題」に書いたことについてより詳しく勉強し、予想される問に対しては予めある程度何を答えるか想定し、それが本番できるように訓練しました。予想される問として一応、一般的な問(座右の名や尊敬する人物等)も考えてはいましたが、一切問われませんでした。志望理由書や志望者調書に関することについては、私は安楽死・尊厳死について書いたのでそれらに関する専門的な書籍や小説を5,6冊読み、関係する法律の条文も押さえました。もっとも、実際の面接ではそこまで専門的なことは問われませんでした。「課題」に関してはかなり高度な質問も受けましたが例年は「課題」という形式はないのでそこは心配しなくて大丈夫だと思います。面接の練習は高校で一度しか行いませんでしたが、何度も一人で(相手がいることを仮想して)練習を重ねていたため、本番は自信を持って挑めたので言葉に詰まることもなく乗り越えられました。面接時間は実際には入れ替えの時間が15分もありそれを入れての30分でしたので、例年はもっと短い時間しかないと思われます。面接はかなり緊張します。その緊張を良い方向に持っていくためにはできる限りの練習・対策をしてきたという自信が必要です。これは陸上でも同じことだと思います。一般入試の勉強を並行して行っていても、面接の10日前ほどからは二次試験対策に全振りしてしまいましょう。

慶應競走部の魅力

 慶應競走部には非常に様々なバックグラウンドを持つ部員が在籍しているという多様性とともに、同一の目標(もちろん個人の目標もそれぞれにあり、その上にブロックやチームの目標があります)に向けて皆が努力しているという包摂性があります。この多様性と包摂性は決して対抗関係にはなく、自主性が強いことによってチームの成員がバラバラの方向に散ることはありません。また、チームのために個々の部員の意思が否定されるような全体主義的な雰囲気になることもありません。このような環境の中で陸上競技に向き合い、互いを高めあっていける環境はそう簡単に出会えるものではないと思います。こうした環境が慶應競走部の魅力だと思います。

受験生に向けてのメッセージ

 慶應に総合選抜型入試で入ろうとすると、総合政策学部と環境情報学部が第一に浮かぶかと思います。事実、競走部の部員の内、総合選抜型で入学した者の大半は先の2つの学部のどちらかに所属しています。
 しかし、それらの学部を否定するつもりは一切ありませんが、本当にそれらの学部が自己にあっているのか一度立ち止まって考えてみてください。法律や政治に興味があるのならば法学部の方が明らかに適当ですし、理工学部や文学部にも総合選抜型入試があります。「慶應の総合選抜型入試=総合政策学部と環境情報学部」と直ぐに判断せず、他の総合選抜型入試も検討してみることをお勧めします。
 競走部に入部することを考えていてかつFIT入試を視野に入れていて、質問や相談等がある方は、遠慮せずご相談してください。できる限りのサポートを致します。法学部、そして競走部でお待ちしております。頑張ってください。