OB・OGさん座談会〜トレーナー編〜
こんにちは!
2年トレーナーの長谷部です。
マネブロを書かせていただくのは去年の7月ぶりでございます、少々緊張しております…
さて、今回は昨日に引き続き、新歓企画としてOB・OGさんの座談会の様子をお届けいたします。
今回、座談会にご協力いただいたトレーナーOB・OGさんは以下のお三方です。
・坂本祐輝さん(2014年卒/環境情報学部出身):新卒でJALに就職、デロイトトーマツコンサルティングに転職
・星野宏太さん(2016年卒/法学部法律学科出身):新卒でANAに就職(パイロット職)
・松山莉奈さん(2019年卒/法学部法律学科出身):慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、慶應義塾大学法科大学院に入学
現役である私の心にも響くような、貴重なお話をたくさんお伺いできたので、将来のことや部活・サークルで悩んでいる新入生の皆様にも、ぜひ届くことを願っております!
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長谷部)本日はお忙しい中お集まりいただき、ありがとうございます。それでは早速質問にうつらせていただきます。
競走部入部時、進路について検討していましたか?あるいはすでに決めていたのでしょうか?また、競走部で活動していく上で変化はありましたか?
星野さん)パイロットになりたいという夢は前々からありました。長年の夢ではあったものの、競走部で先輩方が様々な進路に進んでいく中で、視野を広げて、いろいろな企業を見てみたいと、興味を持つようになりました。でも多くの企業を見た上でも、パイロットになりたい、ということはブレませんでした。視野を広げたからこそ更なるパイロットの魅力を感じました。最終的には、パイロットという夢を追い続けるか、もう1社と悩んだ結果、パイロットの魅力を再確認しました。
松山さん)1年生の4月からダブルスクールに通い、法曹の勉強を始めていました。入部時期は、同期からやや遅れて、5月でした。弁護士になることへの決意は強く、競走部4年間を通してもブレませんでした。進路としても、民間就職は考えず、法科大学院に進みました。
坂本さん)法曹志望で挫折する人が多い中、ブレることはなかったの?
松山さん)周りでは、途中で民間就職に切り替える人もいたのですが、私は勉強も楽しかったですし、迷うことなく法曹の道に進みましたね。
坂本さん)2人とも初志貫徹という感じだけど、僕はどちらかというと挫折の日々でした。元々高校までは野球をやっていて、怪我をしてしまうことが多かったんです。そこで、怪我が多かった野球生活で関わることの多かったトレーナーを志すようになりました。そして、大学でスポーツに関わりたい、サポート(トレーナー)をしたい、という想いが強くなりました。スポーツ科がある私立大学の中で、偏差値が一番高い早稲田に行きたいと思っていたのですが、親戚からの勧めもあり、慶應も受験することを決めました。日吉競技場を見たときに、慶應に進学したいという気持ちが強まりましたね。ただどの部に入部するかは、当時はまだ決めていませんでした。後日見納めに日吉競技場に行ったら、たまたま競走部の勧誘を受けたんです。そして実際に部室を訪ねた時に、「学生トレーナー設立」についての話を聞きました。初めはトレーナー一筋で行くことを考えていたのですが、競走部を卒業して様々な進路を歩む先輩がいる中、就活をすることも視野に入れ始めました。
長谷部)では松山さんにお伺いしたいのですが、ダブルスクールに通いながら、部活と両立は実際できるのでしょうか?また、何か気をつけていたことはございますか?
松山さん)私が部活とダブルスクールを両立するにあたって、同期トレーナーの協力が一番大きかったです。部活動の時間を他のサポートと比べて、多く取れないので、担当選手を診れないこともありました。その時は、同期に代わりにチェックしてもらい、私は、カルテや動画、選手の練習日誌を見たりなどして、自分がいないときでも、選手の状態をチェックするように気をつけていました。
坂本さん)大変だったと思うことはあった?
松山さん)勉強する時間を如何に確保するかが難しかったですね。特に土日は試合帯同があって、平日も部活の時間との切り替えは難しかったです。
坂本さん)僕が見る限り、莉奈は選手から多くの信頼を受けていたと思うのだけれど、時間がない中で、どんな工夫をしていたの?
松山さん)どれくらい多くの時間を選手と共に過ごすかは、信頼関係構築に多く影響すると思います。だから、他のトレーナーと差ができてしまうのは悔しくて、自分がいる日に、どれだけ多くの選手に話しかけられるのか、が勝負になると思っていました。その手段として、動画や練習日誌を見てますよアピールなどして、一緒に過ごす時間が短い分、できる限りのことをして、コミュニケーションを大切にしていました。
↑現役時代の松山さん(上:写真中央・下:写真右)
長谷部)次は星野さんにお伺いしたいのですが、パイロットを目指す上で、部活との兼ね合いで大変だったことなどございましたか?
星野さん)実は、パイロット職の就活も、試験数が多い(5〜7次ほどある)という違いだけで、一般の就活とほぼ同じような過程なんです。就活と部活の両立において、他のみんなとそこまで大差はないと思っています。
坂本さん)身体的な検査以外で、学生時代の経験とかは聞かれるの?もしくは志望動機とか。
星野さん)パイロットへの想いは比較的受験生全員にあるので、JALでもANAでも、学生時代の経験についてを多く聞かれましたね。だから僕はトレーナーの経験を多く話しました。
長谷部)次は坂本さんにお伺いしたいのですが、坂本さんは現役時代に留学経験があるとお聞きしました。サポートが留学することは可能なのでしょうか?何か部活への支障はありましたか?その場合、どのように対処されたのでしょうか?
坂本さん)留学といっても、長期ではなくて、大学3年の夏に、2週間だけボストンに行きました。将来の進路を考える上で、語学留学を行い、現地で働いている人の声を聞きたいと思ったからです。留学によって自分が不在になることで空けてしまう穴をしっかりと埋められるように、後輩や同期にお願いできることはお願いして、しっかりと引き継ぎも行った上で、留学へ向かいました。だから、サポートや幹部と、どのようにコミュニケーションをとるのか、あとは留学で得られた経験をどのように部に還元したり伝えるのか、が重要だと思います。
星野さん)坂本さんが留学で2週間部を空けることに対して、責任を感じていたことが当時はすごい伝わってきました。部活で困ったことがあって坂本さんに電話をしたとき、「自分で考えてみな」という言葉を貰って、「自分で考える力を養ってほしい」という想いを強く感じ、それが留学への準備だったのだと思いました。常に「自分で考えられる後輩を育成する」ということを重視されていたのではないでしょうか。
坂本さん)星野たちの代のトレーナーは選手目線で考えられるし、知識のキャッチアップが早くて、とても優秀だったから、自分が3年生になってからは、星野たち1年生が主役として動いていける体制を作っていかないと、部が上手く回っていかない、と考えました。自分自身が選手をたくさん診るというより、診ている姿を1年生に診てもらう、ということを意識していました。だから、3年生の途中からは基本的に同期の選手しか診ず、1個下の代からはほとんど後輩トレーナーに任せるようにしていましたね。
↑現役時代の坂本さん(写真右)
長谷部)皆様にお伺いしたいのですが、競走部でのかけがえのない思い出を教えていただけますでしょうか。
星野さん)一度に限った話ではないですが、自分が関わった選手がベストを出した瞬間や、勝利した瞬間です。またトレーナー内での思い出として、一番印象に残っているのは、1年生のとき、当時の3年生トレーナーの自宅で、学生トレーナーの理念や行動指針を、学生トレーナーのみんなで、3日間寝ずに、徹底的に考えた1週間ですね。3日間家にこもってブラッシュアップして導き出した理念や行動指針は、今でも僕の中での大きな軸となっています。
松山さん)毎回の公式戦の後に、トレーナーミーティングがあり、ミーティングの最後にヘッドトレーナーの方からお話をいただくのですが、そのお話の言葉が毎回心に刺さりました。自分では出来た、出来なかった、と思っていることに対して、客観的には◯◯だった、と気づかされることも多かったです。自分の成長の糧にもなりました。
坂本さん)選手との関係において、信頼してもらえるように必死に努力をして、自分1人では決して辿り着けないような場所で、選手と一緒に闘えた経験はかけがえのない思い出です。
↑現役時代の星野さん(上:写真手前右・下:写真左)
長谷部)それでは、競走部だからこそ培えた力や、就活において、競走部に在籍していたことの強みは何でしょうか?
星野さん)競走部で、考える力を身につけることができました。また、かなり歴史のある部活のため、OB・OGさんも様々な職種に就かれている方が多いので、縦の繋がりを持ち、多くの話を伺えることは、強みだと考えています。
坂本さん)考える力とは、「仮説を作って、検証すること」であって、これを相手の為にやる、という点が強みになると思います。このような動きをしているからこそ、◯◯◯なのではないか、という仮説をたて、日々選手とコミュニケーションを取りながら結果を検証し、選手が強くなるために何が必要かということを考え続けるという経験は、競走部のトレーナーならではだと考えます。そして、體育會としての強みは、部活動に取り組みながら、就活も行えることです。リアルタイムで頑張っていることだからこそ、伝わる熱い想いがあると思います。
松山さん)私の場合は、コミュニケーション能力です。個性豊かな部員が集う中で、選手毎に合ったコミュニケーションをどのようにとるのか、その人の話を聞き出す為に、どのような話をしなければいけないのか、ということを考える必要性がありました。高校までは、自分と似た環境の人と話すことがほとんどだったので、それまでの関わり方だと難しい部分はありましたね。
坂本さん)選手に如何に話をしてもらい、聞いてもらえるのかということが大切だよね。自分自身が、というよりも相手がどのように思うのか、ということを中心に考えていました。陸上経験がないと、記録やペースの基準も分からないからね…
星野さん)でも、今まで陸上をやってきたという土壌があると、どうしてもその土壌を踏まえた視線になってしまうから、むしろ陸上未経験者の方が、フラットに会話できるという点では、とても強みになるんじゃないでしょうか。競走部の人は、未経験者に対しても、熱意がある人にはしっかりとコミュニケーションをとって接してくれるし、陸上について語ってくれますからね。
↑現役時代の松山さん(写真手前右)
長谷部)では最後の質問となりますが、競走部での経験が、今、社会/大学院での勉強でどのように活きていますか?
松山さん)人との信頼関係の築き方や、問題解決力がとても活きていると思います。サポート同士はもちろん、ヘッドトレーナーの方との信頼関係や関係構築、選手との関わり方など、今の私にとって糧になっています。また、これから弁護士を目指していく中で、依頼者との関係を築き、相手の問題点を発見し、アプローチ方法を専門知識を用いて考え、解決へ導く、というプロセスは、トレーナーでも、弁護士でも共通しているところだと思います。
星野さん)競走部は、学生にとってフラットな、学生主体の組織であった為、自発的に考える土壌を育んでくれました。体制を構築していくには、PDCAサイクルを回していく必要性があります。(−)から(+)の部分において、トレーナー業務はエラーが許されません。つまり、怪我を長引かせること、自分自身の処置により選手を怪我に導くことは許されないんです。そのような状況の中で、多数ある選択肢の中からベターな選択をしなければならない、という部分はパイロットにも通ずると思います。パイロットという仕事における失敗は、イコール事故です。操縦ミスにより、後ろに乗っている数百人の乗客の命を失ってしまう可能性があります。このような事態を防ぐ為に、知識を習得し、使い、それを知恵に進化させていくこと、そして常にベターな選択肢を判断すること。これらの2つの力がパイロットには求められますが、競走部の学生トレーナー活動を通して培ったものは大きいですね。
坂本さん)僕は2つあると思っていて、1つは答えのない問いに対して思考していくプロセス、もう1つはコミュニケーション能力です。1つ目について、あるべき目標地点に対しては、あらゆる手段の中からベターなものを選択し、PDCAサイクルを回し続けていく必要があります。コンサルの世界において、決められた答えはありませんが、クライアントが目指していく地点へ辿り着くためのプロセスが無数にある中で、どれを選ぶのかがものすごく重要になります。2つ目に関して、多くの人は、自分が思っていることを相手に理解してほしい、という想いが強くなっている姿勢で、コミュニケーションをとってしまいます。そうではなくて、相手をどのように想い、相手のためにどのようなことを伝えることが大切なのか、ということを考えられる力は、競走部での経験が大きく活きていますね。競走部は「多様性」の集合体です。新入生の皆さんには、ぜひ一度、競技場に足を運んでいただきたいと思います。
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いかがでしたでしょうか?
先輩方が当時どのような想いでトレーナーをやられていたのか知ることができ、私自身、大変勉強になりました。コロナによって未だ活動自粛期間中ではありますが、今一度、自分を見つめ直し、トレーナーとして今出来る最大限の活動をしていこうと思います。
新入生の皆様にも、トレーナーを始め、競走部のサポートの魅力を感じてもらい、これを機にぜひ興味を持っていただければ嬉しいです!
ご協力いただきましたOB・OGの皆様、大変ありがとうございました。
さて明日はこの新歓企画も最終日となります、長距離マネージャーOGさんの座談会の様子をご紹介いたします。
お楽しみに!