2017年男子短距離合宿4日目in新潟県妙高
こんにちは!
3年マネージャーの村上です。
新潟県は妙高高原で行われている短中距離の合宿も終盤に差し掛かっています。
刻一刻と表情を変える高地の気候にやや翻弄されながらも、あと1日を残すのみとなりました。
蝉しぐれがさんざめく日中の大音声は首都圏とは変わりありませんが、薄い霧が立ち込めたり、また晴れていても涼やかな乾いた風がゆるゆると吹く過ごしやすい環境は、ここに来た甲斐があったと思わせてくれます。
競技場、坂、クロカンと多彩な練習を実現できる恵まれたこの合宿期間に、選手たちは練習中でも、また宿に帰ってからも互いの走りを検分し、相互に高め合っていく姿が見られています。
どんなにきつく、どんなに時間のかかる練習でも、日吉でこなそうと思えば出来ないことではありません。しかし、夜遅くまで自分や仲間の練習動画を批評し、朝早くからのジョグや散歩を通してその日の練習に備える経験は、その一秒一秒が選手たちの、また私たちサポートの血肉へと変わっている気がします。結局はこういうことの積み重ねなのだなと思うと同時に、この5日間も近い未来にベストを出すその一瞬のレースに凝縮して向かっていくのだと、最終日を前にして感慨もひとしおです。
昨年の夏合宿はリオ五輪で、そして今年は世界陸上ロンドン大会で連日刺激を受けている選手たちです。
実力者の信じられない不調、そして日本の4継と競歩でのメダルラッシュ。
何が命運を分けるかは分からない、本当に綱渡りのような競技の中にぼくたちは生きているのだと実感させられます。
個人的には、男子100mで優勝を果たしたガトリン選手の、レース後にタータンの上で見せた涙にぐっときました。
2012年のロンドン五輪で本格的な国際大会復帰を遂げ、それから5年間ずっとボルト選手の背中を追い続けてきたスプリント界のベテラン。
ドーピングの過去、そして陸上競技の本場ヨーロッパでの開催ということもあり、今回の100m決勝では大ブーイングが彼に放たれていたことを覚えている方も多いでしょう。
その過去をどう清算するか、それは本当にガトリンの故意だったのか、いろいろ意見は分かれる部分でしょうが、それでも2004年・2005年と世界の頂点に立ち、それから10年以上の時を経てまたチャンピオンの座を奪還する姿は、35歳という年齢や厳しい非難を吹き飛ばすだけの熱情に溢れていました。
ドーピング行為が何をおいても排除されるべきなのは言うまでもないことですが、批判も逆境も引き受け、積年の勝負にようやくけりをつけたガトリンの執念に、ぼくは目を見張る思いでした。
さて本日は山場の4日目ということでポイント練が多く見られました。
5日制の合宿で最も心身ともにきついのは、4日目だということには多くの方が首肯してくれるのではないでしょうか。
朝食の時点から疲労の色が見える中、自分の脚よ体よ動いてくれと半ば念じる気持ちで競技場へと向かいます。
各ブロックのメニューは
【短短】SD30,60→(150+100)x3→マーカー、ミニハードル走
【短長】ドリル→40秒走x4→補強
【中距離】600×3→クロカン
というものでした。
一昨日までは数百人の競技場利用者がおり、隙間を縫うような立ち居振る舞いが求められ少々窮屈な感じもありましたが、今日の競技場は一気に混雑が和らぎ、非常に気持ちの良い練習ができたように思います。
首都圏では大雨警報が出ていたところもあったようですが、こちらは練習が始まる直前に朝からの小雨が急速に晴れ上がり、疲労の中ポイント練に臨む選手の背中を後押ししているかのようでした。
短短のメイン練習
左から斉藤(経2)、山田(法3)、佐藤(法2)、山口(法1)
短長のマーカードリル
左から荻野(経1)、吉田(経1)、高橋(文2)、南(商2)、藤田(商2)
中距離のメイン練習
左から田島(総3)、原崎(経2)、野沢(総2)、川村(法2)、渕脇(法1)
短短のミニハードルドリル
短長の補強で行った手押し車リレー
また、夕食は恒例のタトラ館でバイキングを楽しくいただきました!
左から金子(トレーナー・薬1)、松山(トレーナー・法3)
今日までの4日間、様々な選手の表情を見てきました。
設定タイム・設定距離をすべてクリアし、ゴール後に雄叫びを上げる熱のこもった表情。この時点にこんな疲労が溜まっていて大丈夫だろうかという不安げな表情。アクティブレストでふっと空気が緩み、リラックスしてこれまでの、そしてこれからの走りを改めて見つめる真剣な表情。
1人の選手の中にこんなにも多様な表情が垣間見られるのかと、合宿のたびに思います。
一人十色ともいえる異なる様相に富んだ個々の選手と触れ合い、走りを見合えるこのような機会は、一部員として、サポートとして何物にも代えがたい経験です。
妙高合宿は明日で幕引きです。慌ただしい日常が、一瞬停止ボタンを押していた普段の生活が戻ってきます。
この5日間だけで劇的に何かが変わったり、また完結するようなこともないでしょう。
本来あるべき場所に帰り、そこでこの合宿の余波を受け止められるか、きっかけとして起爆剤として引き継げるかが大きな分岐点なのだと思います。
まずは約1ヶ月後の早慶戦を旗印に、残りの夏休みを過ごしていきましょう。
最後までご覧いただきありがとうございました。
妙高最終日も応援よろしくお願いします!
以上です。
失礼致します。